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祖父の言葉

祖父のことを最近よく思いだします。9年前に87歳で亡くなりました。祖父は銀行員で、定年後も自分で資産の運用をしていました。テレビの経済ニュースを見ている祖父の横顔を今でもはっきりと覚えています。小学生だった私も祖父のとなりでよく見ていました。大人の世界をのぞき見している気持ちになりドキドキしました。

私がコーチから金融機関の営業になるとき、祖父はとてもよろこんでくれました。「業界でいま一番のびている会社だな。よい会社だから、あとは敏彦の努力次第。しっかりやりなさい」とはげましてくれました。1年目の成績が同期400人のなかで1番になったのは、祖父の言葉があと押ししてくれたのかもしれません。

そのはげましが、祖父から私への最後の言葉になりました。祖父はがんの治療をつづけていたのですが、容態が急に悪くなったのです。東京から地元の名古屋へと私は急いで帰りました。祖父は私を待っていてくれたと感じました。私が病院に着いてまもなく、すっと息を引きとったのです。とても安らかな顔でした。

お金の相談に乗っているとき、祖父の存在を近くに感じることがあります。「敏彦はしっかりやっているかな?」とようすを見にきてくれているのかもしれません。
「人から忘れられないかぎり人は死なない」という考え方が好きです。これからも祖父の存在と言葉に力をもらい、しっかりやっていきます。

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